2009
07.04

連載 「窯八の来た道」 5

     その作家さんの工房は大学からは本当にすぐそこながら、
     こんなところがあったんだ…と思わせるようなまったくの別世界でした。

     小さなプレハブの建物の中に入ると、挿し棚(作品を置く棚)と土置場、
     薪ストーブに木製の蹴ロクロや手ロクロ(どちらも昔ながらの伝統的なロクロです)
     など、本でしか見たことのない陶芸の空間がいっぱいに広がっていて、
     しかもその辺には信楽の壺や鉢が無造作に転がされていて…
     いつまでもその場にいたいような衝動にかられました。
     
     その作家Tさんはプロのジャズギタリストから焼き物の世界へ転身された方で、
     ほぼ独学で穴窯まで作ってしまったとう人。それだけに人生経験も豊でその上
     話も面白い気さくな人柄だったので、僕の興味も面白おかしく受け入れてくれて
     数日後に予定されていた窯焚きの見学をさせてもらうことになりました。

     窯焚き、だなんて「余人は近寄れない、厳粛」というようなイメージを持ちつつ、
     でもちょっと薪くらい触らせてもらえたらいいなぁ…なんて気持ちで
     とにかく数日後に窯場に行ってみると、すでに火を入れて(火を付ける、
     火を燃やす、のこと)丸一日、少しずつ温度を上げ始めたところでした。
     恐る恐る工房をのぞくと、ギターをつま弾くTさんが。
     そしていきなりこう言ってくれたのです。
     「おっ!来たね~!薪をくべてみな」                   
                                                 つづく
          
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