2009
07.18

連載 「窯八の来た道」 6

     いきなりのチャンス到来!もちろん僕の返事は
     「ハイ!やります!!」
   
     すると一回だけくべ方を見せてくれて「あとは好きにやってみな」とのこと。
     「えっ??一人で、ですか?」「もちろん」
     さて、いきなり一人で焚くことになりました。
     いまにして思えば、かなり大胆に信頼?してもらったのだと感謝していますが…
     当時まだ穴窯どころか、サークルの灯油窯さえも一人で炊いたことはありません。   
     幸い、温度帯はまだ低いので薪をくべる間隔もまだゆっくりです。
     「よ~し、なんだかわからんけどとにかくやってみよう。薪を突っ込めばいいんだし」
     と、見よう見まねでやってみることにしました。

     燃える薪をじっと見ていると炎と煙が焚き口から吸い込まれていきます。
     少しずつ薪が短くなり、次第に黒い炭や白い灰になって崩れていきます。
     何本かの炎の先をそろえてやるとスッと炎が大きくなり、無理に新しい薪をつっこむと
     炎が乱れて小さくなってしまいます。

     上手にできた時の、炎が窯の中に流れるように吸い込まれていく様は
     整然としながらも一瞬たりとも同じ動きはありません。また下手にくべてしまうと
     まるで見えない壁か岩でもあるかのように炎は乱れ、ぶつかり合ってしまいます。
     薪の香り、燃え盛る炎に五感が否応なしに刺激されて、僕の気持ちの高まるのを
     感じました。

     …気付いてみると数時間がたっていました。
     とにかく夢中になってすごした、あっと言う間の時間でした。
     穴窯のことなんてさっぱりわからないけれど、黙々と薪をくべていたら
     頭の芯が冴えてくるといった感じになりました。    
     そしてどんどんと高まる自分自身の高揚感は今まで体験したことのないような、
     あえて言えば昔部活でハンドボールをやっていた頃の試合前の高揚感と近いけど
     やはり全然ちがう、なんとも透明な感じがしました。
     
     結局、その後もウロウロして薪を運ぶ手伝いをしたり、再チャレンジ、再々チャレンジ
     させてもらったり、いきなりはまりまくってしまいました。

     この高揚感こそが、薪窯の一番の魅力ではないかと思うのですが、
     だから今の僕にとっても焼き物は、薪窯で焚いた「焼き〆」でないと
     意味がないんです。でも、もちろんこの時点で自分が将来穴窯を持つことに
     なるなんて、まだまだ思っていなかったのですけどね。              つづく
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